2025年2月02日
院長の前川です。裏側矯正(舌側矯正)は、見た目を気にせず歯並びを整えられるため、多くの患者さんに選ばれている治療法です。しかし、同じワイヤー矯正でも、表側矯正と比べて裏側矯正の治療は高度な技術を要し、難易度が高いとされています。その理由について詳しく解説します。
1. 装置の取り付け位置が特殊で調整が難しい
裏側矯正では、ブラケット(矯正装置)を歯の裏側(舌側)に装着します。歯の裏側は表側よりも凹凸が多く、取り付けるスペースが限られているため、精密な装着技術が求められます。
また、装置が舌に近いため、患者さんが違和感を覚えやすく、快適に治療を進めるためには、歯科医師が細かい調整を繰り返す必要があります。これにより、治療の難易度が上がります。
2. 歯の動かし方が異なる
表側矯正では、歯の表面にブラケットを装着し、歯を前方・後方・回転させる力をダイレクトにかけやすいですが、裏側矯正の場合、歯の裏側から力を加えるため、歯の動かし方が異なります。
特に、
- 出っ歯(上顎前突)の改善
- 開咬(前歯が噛み合わない状態)の治療 などでは、歯の裏側からワイヤーの力を調整する必要があり、治療計画の立案がより慎重になります。
3. 調整やメンテナンスに時間がかかる
裏側矯正は装置が見えない位置にあるため、ワイヤーの調整やゴムの交換を行う際に視野が制限され、細かい作業が必要になります。そのため、術者によっては1回の調整に要する時間が表側矯正よりも長くなる傾向があります。
また、歯科医師だけでなく、患者さんにとっても歯磨きがしにくくなるため、定期的なクリーニングやメンテナンスを徹底することが大切です。
4. カスタムメイドの装置が必要
裏側矯正では、患者さんの歯の形状に合わせたオーダーメイドのブラケットやワイヤーを使用します。これにより、より精密な治療が可能になりますが、
- 個々の患者さんに最適化された装置を作るための技術
- カスタム装置の製作やワイヤーを調整する技術が加わることで、治療の難易度が上がります。
5. 矯正医に高度な技術が求められる
裏側矯正は、矯正医の経験や技術によって治療の精度が大きく左右される治療法です。一般的な表側矯正に比べて、
- 歯の動きを細かく計算しながら力を調整する必要がある
- 限られたスペースで正確にブラケットを配置するスキルが求められる など、高度な専門知識と技術が必要になります。
そのため、裏側矯正を専門に扱う矯正医は限られており、治療を受けられるクリニックも比較的少なくなります。
6. 発音や舌の影響を考慮した設計が必要
裏側矯正の装置は舌に近い位置にあるため、最初は発音がしづらくなることがあります。これを最小限に抑えるために、
- 舌に当たりにくい小型ブラケットの選択
- 違和感を軽減するワイヤーの調整 などの配慮が必要になります。
まとめ:裏側矯正の難易度が高い理由
裏側矯正が表側矯正に比べて難易度が高いのは、
- 装置の装着位置が特殊で精密な作業が必要
- 歯の動かし方が異なり、治療計画が複雑
- 調整やメンテナンスに時間がかかる
- オーダーメイドの装置が必要
- 矯正医に高度な技術と経験が求められる
- 発音や舌への影響を考慮する必要がある といった要因があるためです。
つばさ矯正歯科では、裏側矯正の専門的な知識と技術を活かし、患者さんが快適に治療を受けられるようサポートいたします。裏側矯正をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。