2024年11月22日
こんにちは、院長の前川です。矯正治療を始める際に多くの患者さんや保護者の方からいただく質問のひとつが、「抜歯は必要ですか?」というものです。歯を抜くと聞くと、どうしても抵抗感があるものですし、可能であれば避けたいと考えるのは自然なことです。しかし、矯正治療において抜歯が必要なケースは確実にありますし、逆に抜歯をしないで治療を進められる場合もあります。今回は、その判断基準や背景について、分かりやすくお話しします。
なぜ矯正治療で抜歯が必要になるのか
矯正治療で抜歯が必要になる主な理由は、「スペース不足」です。例えば、歯並びがガタガタしている場合、歯が正しい位置に並ぶためのスペースが足りないことが多いです。このような場合、抜歯を行うことでスペースを確保し、歯を綺麗に並べることができます。
また、上下の歯の噛み合わせ(咬合)が良くない場合にも、抜歯が必要になることがあります。例えば、上顎が大きく出ている「出っ歯」や、逆に下顎が前に出ている「受け口」の場合、歯を抜いて噛み合わせを調整することがあります。
さらに、前歯の突出が強い場合、歯を内側に引っ込めるために抜歯が選択されることもあります。この処置は、審美性だけでなく、唇が閉じやすくなるなどの機能的なメリットも生まれます。
抜歯が不要なケースもある
一方で、矯正治療において必ずしも抜歯が必要というわけではありません。歯並びの問題が軽度である場合や、子どもの成長を利用して顎を拡大することができる場合、抜歯をせずに治療を進めることが可能です。
近年では、非抜歯での治療を可能にする矯正装置や技術の進歩もあり、抜歯を避ける選択肢が広がっています。特に、子どもの矯正治療では、顎の成長をコントロールしながら歯が並ぶスペースを確保することができるため、抜歯の必要性が減少します。
また、マウスピース矯正(インビザラインなど)では、抜歯をせずに歯列を整えるケースがあります。ただし、スペースが大幅に必要な場合や骨格的な問題がある場合には、マウスピース矯正でも抜歯が必要となることがあります。
抜歯をするかしないかの判断基準
矯正治療で抜歯が必要かどうかを判断するには、以下のような要素を総合的に考慮します。
歯の重なり具合
歯が大きく重なっている場合は、抜歯が必要になる可能性が高くなります。
顎の大きさ
顎の骨が小さく、歯が並ぶスペースが不足している場合は、抜歯が選択されることがあります。
噛み合わせの状態
上下の歯がきちんと噛み合わない場合や、顎の位置にズレがある場合は、抜歯が噛み合わせの調整に有効なことがあります。
患者さまの希望
治療期間や見た目の変化など、患者さまの希望やライフスタイルも重要な要素です。
成長期かどうか
成長期であれば、顎の成長を利用して非抜歯での治療が可能になることがあります。
抜歯に対する不安を解消するために
抜歯と聞くと「歯を失う」というイメージが強く、不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、矯正治療における抜歯は、将来的な健康と機能、美しさを手に入れるためのステップです。
抜歯後の歯の隙間は、矯正装置によってきれいに埋まります。また、抜歯を行うことで歯列が整い、歯磨きがしやすくなるため、むし歯や歯周病の予防にもつながります。
私たちのクリニックでは、患者さまの不安を軽減するため、事前に丁寧な説明を心がけています。抜歯の必要性や治療の流れ、リスクとメリットをわかりやすくお伝えし、納得いただいた上で治療を進めます。
まとめ
矯正治療における抜歯の必要性は、一人ひとりの歯や顎の状態、治療のゴールによって異なります。抜歯が必要な場合でも、それが最適な選択であることを理解していただければ、安心して治療を進めていただけるはずです。
矯正治療を考えている方や、抜歯について心配されている方は、ぜひ一度ご相談ください。私たちは患者さま一人ひとりに寄り添い、最善の治療法を一緒に考えていきます。笑顔と健康な歯を手に入れるために、全力でサポートいたします。