過蓋咬合とは？

過蓋咬合の原因

1. 遺伝的要因：過蓋咬合は遺伝的な影響を受けることがあります。顎の成長や歯の位置が遺伝によって決まるため、家族に同様の症状が見られる場合があります。
2. 顎の発育不均衡：顎の成長が不均衡である場合、上顎が過剰に成長し、下顎との噛み合わせに問題が生じることがあります。
3. 乳歯の影響：乳歯が虫歯や外傷で早期に抜けた場合や永久歯の萌出が遅れる場合、歯の位置や噛み合わせに影響を与えることがあります。
4. 歯の位置の異常：歯の位置が不正確である場合、特に前歯が過剰に出ていると、過蓋咬合が発生することがあります。
5. 習慣的要因：強く噛みしめる癖や歯ぎしりなどの癖で奥歯がすり減り、過蓋咬合の原因となることがあります。

過蓋咬合の症状

1.噛み合わせの問題

大きく分けると前歯の問題と奥歯の問題になります。

1. 前歯の問題では、下の前歯が上の前歯に強くあたることにより、上の前歯がダメージを受けやすいです。また上の前歯が裏から押され、だんだん出っ歯になっていくこともあります。下の前歯の先端が、上の前歯の内側の歯茎にあたるほど噛み合わせが深い場合もあり、その場合には上の歯茎が炎症を起こすこともあります。
2. 奥歯の問題では、過蓋咬合は咬み合わせが深いため、奥歯に力がかかりやすい咬み合わせです。そのため食いしばった際などに奥歯にストレスがかかり、奥歯がすり減りやすい状態となっています。噛み締めや食いしばりでやがて歯は少しずつすり減り、歯が短くなってきてしまいます。すり減りが進むと、知覚過敏を起こしやすくなったり、露髄（神経が出てしまう状態）してしまうと神経を取ることになったり、最悪の場合咬合力によって歯根破折（歯の根が折れること）を起こすこともあります。歯根破折を起こすと、多くの場合抜歯が必要となります。

2.見た目の問題

上顎の前歯が下顎の前歯を覆い隠すため、笑顔や話し方に影響を与えます。特に前歯の見え方が不自然で、見た目に自信を持てなくなることがあります。

3.口腔衛生の問題

過蓋咬合により歯の位置が不正確であるため、ブラッシングが難しく、歯垢がたまりやすくなります。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、噛みあわせが深いことにより強い力がかかり、詰め物・被せ物・ブリッジ・入れ歯・インプラントなど色々なものが壊れやすくなります。

4.顎関節の問題

過蓋咬合は奥歯での接触が強いため、下顎を動かすことが苦手になります。そのため、顎に負担がかかり、顎関節症になりやすいことがわかっています。また、顎の不調は肩や首のコリなど、不定愁訴の原因となることがあります。咬み合わせの問題は、口だけでなく身体の至るところに影響を及ぼします。

5.発音の問題

前歯の位置が不自然であるため、特定の音を発音する際に支障をきたすことがあります。特に「さ行」や「た行」の発音に影響を与えることがあります。

過蓋咬合の治療方法

1.矯正治療

• ブラケット矯正：歯の表側または裏側にブラケットを装着し、ワイヤーで歯を引っ張って移動させる方法です。過蓋咬合の程度に応じて、適切な装置と調整が行われます。
• インビザライン：透明なマウスピースを使用する方法で、取り外しが可能なため、食事や歯磨きがしやすいです。見た目に配慮した治療が可能です。
• アンカースクリュー：必要に応じて小さなスクリューを顎骨に埋め込み、歯の移動をサポートします。特に、重度の過蓋咬合には効果的です。

2.外科的治療

顎矯正手術：骨格的な問題が原因の場合、顎の骨を手術によって調整することがあります。特に重度の過蓋咬合には効果的です。手術によって上顎または下顎の骨を切り、位置を修正します。

3.補助治療

• 咬合調整：矯正治療の一環として、噛み合わせを調整するために行われます。治療中や治療後に行われることがあります。
• リテーナーの使用：治療後に歯並びを維持するため、リテーナーを使用します。これにより、再度の歯の移動を防ぎます。

過蓋咬合の治療の流れ

過蓋咬合の治療のメリット

• 自信の向上：美しい歯並びは笑顔に自信をもたらし、社会生活や対人関係においてもプラスになります。
• 機能の改善：噛み合わせや咀嚼機能が改善され、食事がしやすくなります。
• 口腔衛生の向上：歯並びが整うことで歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病の予防につながります。
• 顎関節の健康維持：正しい咬合により、顎関節にかかる負担が軽減され、顎関節症のリスクが低下します。
• 発音の改善：正しい歯並びにより、発音が明瞭になり、コミュニケーションが円滑になります。

過蓋咬合の治療のデメリット

• 治療期間の長さ：矯正治療には時間がかかることが多く、数年の治療期間が必要です。
• 費用の負担：矯正治療は保険適用外の場合が多く、費用が高額になることがあります。
• 不快感：装置の装着により、口内に不快感を感じることがあります。また、初期のうちは痛みを伴うこともあります。
• 外科手術のリスク：顎矯正手術を行う場合、手術に伴うリスクや回復期間が必要です。

過蓋咬合の予防と管理

過蓋咬合を予防するためには、幼少期からの口腔内のケアや習慣が重要です。食いしばり予防やブラッシング指導など、顎の成長に影響を与える習慣を早期に改善することが大切です。また、定期的な歯科検診を受けることで、早期に問題を発見し、適切な対策を講じることができます。

お問い合わせ

過蓋咬合の治療についての詳しい情報やご相談をご希望の方は、当院までお気軽にお問い合わせください。経験豊富な専門の歯科医師が、最適な治療プランをご提案いたします。当院では、最新の技術と設備を用いて、患者様一人ひとりに合わせた最適な治療を提供しております。美しい歯並びと健康な口腔環境を手に入れるために、ぜひご相談ください。